
工夫次第で狭い場所でも栽培できます
スイカは日本の夏に、清涼感と楽しみを与えてくれます。
水分が多く甘いスイカは、果物として食べていますが、
農林水産省の定義では、実は野菜なのですね。
プランターを使って仕立てを工夫すれば、
畑を持っていなくても、狭いスペースで、
家庭で育てた美味しいスイカを楽しめます!
■スイカ プランター 栽培
・栽培環境
日当たりの良い場所で育てます。
連作障害に弱いので、同じウリ科の植物(キュウリ、カボチャなど)を、
育てたことのある場所では数年はあけて栽培します。
連作障害が出にくく病気に強い、接ぎ木苗を選ぶのも良いでしょう。
・苗選び
スイカは種から育てることもできますが、
初心者なら苗からの方が良いでしょう。
また、大玉スイカのプランター栽培は、やや難しいので、
小玉や中玉種から始めると栽培しやすいです。
特に、接ぎ木苗を選んで購入した方が、
病害虫に強いなどの特性があるのでお勧めです。
良い苗かどうか、しっかりチェックして選びましょう。
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購入したスイカ接ぎ木苗
◎良い苗の選び方
・節間が短い。節間が長いものは、暗い場所で育てた可能性があり、
ひょろっとして頼りないです。節間がつまった苗を選びましょう。
・根がしっかり張っている。苗を軽くゆすってみて、
株元がぐらぐらしている苗は、根張りが弱いかもしれません。
ぐらぐらしていないものを選びましょう。
・葉や茎が元気。葉や茎が変色していたり、
虫がついていないかを確認しましょう。
・双葉がついている。双葉が枯れてなくなっているものではなく、
元気に残っているものを選びましょう。
・適度な葉の数のもの。
本葉が5枚か6枚くらいの若い苗を選びましょう。
・プランター
スイカは大玉でも小玉でも、栽培期間が少し長く、
また大きな実をつけるので、根の生長が旺盛です。
そのため、あまり小さなプランターで育ててしまうと、
すぐに根詰まりを起こして、十分に生長できません。
野菜栽培用の深型プランターなどであれば、
土の量もたくさん入るので適しています。
60cmの深型プランターに対して、
大玉であれば1株、小玉でも2株が限度です。
植え付ける時は苗も小さいので、
広いプランターに何株も植えたくなります。
しかし苗を大きく育てるには、十分な根の生育スペースが必要です。
必ず株の数は増やさないようにしましょう。
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10号鉢で小玉スイカが2個収穫できます
・植え付け
苗の植え付け時期は、4月中旬〜5月中旬頃です。
プランターの底が隠れる程度に鉢底石を敷き、
プランターの縁から3cmほど下まで土を入れます。
使う用土は、市販の野菜用培養土で十分です。
大玉はプランターの真ん中に、
小玉は両端に植え穴をあけて苗を植え付けます。
接ぎ木の場合は、接いだ部分が土に埋もれないように注意します。
苗を植え付けたら、プランターの底から、
水が出てくるまでたっぷりと水を与えます。
・水やり
土の表面が乾いたら、プランターの底から、
水が出てくるまでたっぷり与えます。
スイカは乾燥した環境が苦手ですが、
あまりに土がじめじめしていると、根腐れを起こしますので、
土の表面が湿気ている状態であれば、水を与える必要はありません。
気温が上がってくると、スイカの生育も旺盛になり、
水の吸い上げも増してきます。
また、土から水が蒸散する量も増えますので、
朝に水を与えていても、夕方に土が乾いているようなら、
またたっぷり与えるようにします。
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着果してます
みるみる大きくなります
・肥料
スイカはあまり肥料を多く与えて育てると、
「つるボケ」という状態になり、葉やつるばかり、
伸びてしまう状態になってしまうことがあります。
うまくいって実がついても、肥料が多いと、
甘みが薄くなり味が落ちますので注意します。
植え付けをしてから3週間は肥料を与える必要はありません。
株がしっかり根付き、つるが伸びはじめた頃、最初の追肥を行います。
その後は3週間おきに緩効性の肥料を与えるか、
週に1回液体肥料を与える程度で十分です。
肥料には窒素:リン酸:カリが含まれていて、
メーカーや種類ごとに比率がかわってきます。
窒素が多く含まれているものは、つるボケしやすいので、
リン酸が少し多めのものを選ぶようにしましょう。

・摘芯・仕立て
大玉でも小玉でも、1本〜3本仕立てにします。
1本のつるに1個の実をつけるようにしますので、
1株で1個〜3個の実ができることになります。
それ以上に花は咲きますし、結実することもできますが、
たくさんの実をつけてしまうと、栄養が分散してしまい、
それぞれが小さなスイカにしか育ちません。
数を少なくすれば、その分それぞれに十分な栄養が回ります。
少なくてもおいしいスイカが食べられるわけです。
最初に伸びてくるつるを親ツルと言います。
摘芯は本葉が5枚か6枚くらい残し、先を切ります。
その後、脇から新しくできたつるを子ツルと言います。
勢いのある子ツル1本〜3本残し、あとの子つるは摘んでしまいます。
さらに子ツルの脇から孫ツルが出てきますが、
葉を1枚残して摘むようにします。
この時にしっかりと摘んでおかないと、
どんどんつるが増えて収拾がつかなくなるので、
きちんと摘むようにしましょう。
また、親ヅルを摘芯せず、1本で仕立てる方法もあります。
子ヅルの2本仕立てとどちらが生育がよいか、現在実験中です。
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ツルの整理が、きちんとできると「スイカ栽培」一人前だそうです
スイカの仕立てには2種類あり、地面を這わせて育てる地這えと、
支柱を使って立体的に仕立てる空中栽培があります。
地這いは広いスペースが必要ですが、
太陽の光が株全体にまんべんなく当たります。
空中栽培は狭いスペースでも栽培できるのがメリットです。
◎地這い
プランターの前にスダレや敷き藁などを敷き、
その上を這わせて育てます。
つるは自分で巻きつきますが、
巻きが甘かったりすると茎が動いて傷むことがあるので、
伸びてきたら藁やスダレに誘引してあげると良いでしょう。
スイカの実は太陽に当たっている部分が色づくようになっています。
受粉から15日ほど経った頃に、ヘタが切れないように注意して、
実の上下を返します。
こうすることで、日が当たっていなかった裏側にも日が当たり、
まんべんなく果実に色がつくようになります。
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空中栽培は、病気になりにくいのが長所です
◎空中栽培
プランターに支柱を挿し、行灯仕立てになるように誘引します。
実が大きくなってくると重くなり、誘引している紐がはずれたり、
ヘタが重みに耐えきれず落ちてしまったりするので、
ザルやネットをかけて支えてあげるようにしましょう。
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人工授粉をしたほうが安心です
・受粉
虫がたくさんいる環境であれば、
自然に任せても受粉できるかもしれませんが、
より確実に受粉させるために、人工授粉をしましょう。
雄花の花粉を筆や綿棒でとり、雌花の柱頭につけます。
または、雄花を摘み、花粉がつけやすいように、
雄花の花びらを取って、雌花に花粉をつけます。
受粉させる雌花は、
15節〜20節のところに咲いたものにします。
それより下の雌花は、受粉をしても、
実があまり大きくならないことが多いので注意しましょう。
受粉日を札に書いて花の傍に挿しておいたり、
タグをつるにつけておくと、収穫の目安になります。
いくつか受粉させて、1本のつるに何個か実がついた場合は、
生長の良いものを残して、後は摘果するようにします。

小玉スイカ収穫
とても甘くてジューシー
■収穫
収穫の目安はいくつかあります。
・受粉から小玉なら30日、大玉なら40日経った頃。
品種によって異なりますので、確認しておきましょう。
・実のついた節のつるが茶色くなって枯れた頃。
・叩いてみて、鈍い音がするようになった頃。
これらを総合して収穫し、おいしいスイカを楽しみましょう。
■病害虫
アブラムシ、ハダニ、ウリハムシなどがつくことがあります。
アブラムシやウリハムシは、発見したらその都度捕殺するようにします。
ハダニは発生してしまうと、専用の薬を使ったりしないと駆除が難しいです。
高温乾燥の環境を好みますので、葉の表面だけでなく、
葉の裏にも水をかけて予防するようにしましょう。
炭そ病、つる枯病、モザイク病など発生することがあります。
雨や水やりなどで株元の泥が跳ねあがり、
葉の裏に菌が付着することで起こる病気が多いですので、
泥が跳ねあがらないように株元にマルチをするだけで、予防になります。
■参考
・スイカ ネットで吊り栽培
・スイカ栽培 じょうずな受粉方法
・スイカ栽培方法の流れ
・スイカ栽培と病気対策
・スイカ栽培の土壌環境|甘く大きな収穫のために
・スイカ栽培 タネまきの方法
・小玉スイカ栽培|植え付けから収穫まで
・スイカが着果しない理由
◎甘いスイカ栽培のコツは?
・スイカの実が割れる=裂果の理由は?
・スイカの収穫時期の判断方法は?
・スイカの整枝と玉直しの方法は?
・スイカ 収穫 時期の見分け方
・スイカ(西瓜)の育て方|初心者もしっかり結実!
◎スイカ栽培、摘心・受粉のコツ!
◎スイカの鉢 栽培
◎小玉スイカの育て方 栽培方法