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夏は、ナスづくりに燃えます!
ナス(茄子,Eggplant)は夏から秋にかけて旬を迎える、
インドが原産のナス科の野菜です。
奈良時代に、奈須比(なすび)として渡来したようです。
株は大きくなりますが、その分育つ経過を楽しめて、
実も食べる喜びを感じることができるので、初心者向きの野菜です。
連作障害が出やすい野菜ですので、
一度育てた場所では、5年以上空けてからまた育てるようにします。
もっと早く同じ場所で育てたい場合は、
連作障害に強い台木を使った接ぎ木苗を育てるようにします。
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ナス畑
■ナスの育て方
・栽培環境
ナスはとても日光を好みます。
日当たりの良い場所で育てるようにしましょう。
ナスの生育温度は、22℃〜30℃程度と言われています。
真夏になると一旦実生りは落ち着きますが、
この時に切り戻しの作業をすると、
秋になってまた収穫し「秋茄子」を楽しむことができます。
・苗の選び方
種からも育てることができますが、育苗に時間がかかりますので、
初心者の方は苗から育てることをおすすめします。
植え付けの時期になると、
ホームセンターや園芸店などで野菜苗が並び始めます。
今はたくさんの品種が売られていますが、
最初は千両2号など、標準的なものを選ぶとよいでしょう。
種からそのまま育てたものでも良いのですが、
できれば接ぎ木苗を購入することをおすすめします。
接ぎ木苗は台木に耐病性のあるもの、
穂木に終了や食味がいいものが使われることが多く、
この2つを接ぎ木にすることで、耐病性もあり、収量や食味がいい苗となります。
◎良い苗を選ぶポイントは?
1.節と節の間が詰まっていて、徒長していないもの。
2.葉の色が濃いもの。
3.軽く揺らしてもぐらぐらしないもの。
4.茎が太くがっしりしているもの。
5.大きな蕾がついているもの。
6.虫がついていないもの。
元気な苗とそうでない苗とでは、その後の生育にかなり差が出ます。
収量も変わってきますし、運が悪ければ収穫まで至らない、
こともありますので、苗選びはしっかりしましょう。

植え付け後
・植え付け
苗の植え付け時期は、暖地であれば4月〜5月上旬、
寒冷地であれば5月〜6月上旬が適期です。
早すぎると気温が低く、遅霜で苗が傷んでしまうことがありますので、
十分に気温が上がってから植え付けるようにしましょう。
植え付ける場所は、植え付ける2週間ほど前に土の準備をします。
深さ30cmを目安に深めにしっかり耕し、
完熟牛糞堆肥などの有機質を混ぜ込み、ふかふかの土に仕上げます。
植え付け1週間前に化成肥料を1uあたり150g〜180gほどを混ぜ、畝を作ります。
畝は幅60cm〜75cm、高さ20cmを目安にして作ります。
長さは植えつける株数によって変わります。
ナスは根も張りますし、地上部も茂りますので、
株間は60cmとしっかりとりましょう。
買ってきた苗を植え付ける場所に仮置きし、植え付ける位置の確認をします。
ポットがすっぽりと入るくらいの植え穴をスコップであけ、
ポットから苗を抜いてそっと植え穴に置き、
周りの土を寄せて軽く手のひらで押して植え付けます。
この時、接ぎ木苗であれば、接ぎの部分が土に埋まらないように注意します。
植え付けた後は、仮支柱を立て、水をたっぷり与えましょう。

賀茂茄子も育ててみたいです
・水やり
ナスは水分の吸い上げが強い上に、乾燥に敏感です。
地植えであっても、土が乾いていたら朝か夕にたっぷり水を与えます。
地植えのものに水を与える時は、表面の土が濡れた程度では全然足りていません。
根はもっと深くまで張っているので、しっかりと水を与えましょう。
株の周りにワラなどを敷いておくと、乾燥を和らげることができます。
・肥料
ナスは「肥料食い」と呼ばれるほど肥料が多く必要です。
最初の実を収穫した後から追肥を始めるようにします。
化成肥料であれば1株に一握りずつ、2〜3週間に1回のペースで与えます。
液肥の場合は、1週間に1回のペースで、
規定通り薄めて水やり代わりに与えるようにします。
肥料を与えていても、株の様子をチェックして、
肥料切れを起こしていないかを確認しましょう。
ナスは花を見て、肥料が足りているかどうかを知ることができます。
雌しべと雄しべを見てみると、通常は雌しべの方が長いのですが、
肥料が切れてしまうと雌しべが短くなり、雄しべに埋もれてしまうことがあります。
この症状を発見したら、肥料を与える予定の日でなくても、
肥料を与えて様子を見ましょう。

栄養不足の苗の花
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栄養の良い苗の花は、雌しべが見えます
・栽培管理
ナスの管理は一見難しそうですが、
ポイントを押さえれば、さして難しくはありません。
1. 仕立て方
一番花(最初に咲いた花)がついたら、
その上下にある強い側枝を2本残し、後の脇芽はすべて取り除きます。
ナスは3本仕立てにするのが基本です。
主枝と側枝2本の3本仕立てにすることで、
主枝のみを育てるよりも収量が増します。
また、すべての側枝(脇芽)を育ててしまうと、
栄養が分散して結果として実がならなかったり、
小さな実しか収穫できないということになり、収量が落ちます。
側枝を2本選び、選んだもののみ育てることで、
栄養を分散させることなく育てることができ、
大きな実を収穫することができます。
育てる側枝を選んだら、支柱を立てます。
支柱は120cm〜150cmのものを選び、2本用意します。
一番花を中心にバッテンになるように支柱をしっかり地面にさします。
主枝はそのまま上に伸ばし、選んだ側枝をそれぞれの支柱に添わせるようにして誘引します。
支柱をさす時に、日当たりの良い方向を確認してさすようにしましょう。

2本仕立てにすると収量が増えます
2. 切り戻し剪定
秋にもナスを楽しむために、夏に一旦収穫が落ち着いたら切り戻しをします。
切り戻しをすると、新しい枝が伸びてきて秋にまた実が収穫できるようになります。
7月下旬〜8月上旬頃に、実がついた枝(主枝と側枝2本)を半分くらいの長さに切ります。
この時、1つの枝に葉は2枚くらい残すようにします。
株から15cmほど離れた場所にスコップを入れて、根を切ります。
この古い根を切る=根切りをすることで、新しい根が伸び、株が元気になります。
切り戻しの後に必ず肥料を与え、引き続き乾燥に注意しながら育てます。
新しい枝が伸び、20日〜30日ほどすると再び収穫することができます。
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秋茄子が食べられると嬉しいですね
■収穫
一番最初にできた実は、少し小さいうちに収穫するようにします。
こうすることで、その後の実付きをよくすることができるのです。
品種により収穫時の大きさは異なりますが、
手ごろな大きさになったらすぐに収穫するようにします。
収穫が遅れると、食味が悪くなるばかりでなく、
次の実に栄養がいきにくくなり、生長に影響します。
収穫の際はヘタにあるトゲに注意します。
枝に近いところの付け根から切り、
それからヘタの長さを短く切ります。
こうすることでヘタの長さをそろえることができます。

アブラムシは大繁殖する前に補殺しましょう
■病害虫
アブラムシが発生することがあります。
口に入れるものですので、できる限り薬剤を使いたくないという方は、
キラキラしたテープや黄色いテープを、
株の周りに設置すると簡単な予防をすることができます。
もしアブラムシがついてしまったら、数が少ないうちは、
粘着テープなどでぺたぺたとくっつけて捕殺することができます。
また、酢・唐辛子・焼酎を混ぜたものを霧吹きでふきつけるのも効果があります。
どれも食品ですので安心です。
*ナスの分かりやすい育て方は、こちらです。
>>ナスの育て方.com
■参考
・ナスの剪定|秋ナス収穫のために
・ナスの苗を植えたが元気がない枯れる理由は?
・ピーマン、ナス、トマトの実が落果し小さな穴があく理由は?
・ナスのプランター栽培
・ナスの追肥の方法