
カサブランカは繊細ですが開花した喜びは大きいです
Q
ユリを育てても、貧弱な花しか咲かないのですが、
りっぱな良い花を咲かせるにはどうしたら良いでしょう?
A
ユリの大きく美しい花は、魅力的ですね。
ユリに限らず、植物には栽培に適した環境があります。
逆に考えると、その植物に適さない環境で育てると、
思ったように育たず、貧弱な花しかつけない弱い株に育ちます。
ユリは、一般的に過湿を嫌い、
水はけがよい土壌と風通しの良い環境を好みます。
日当りは、系統によって好みが異なります。
◎日当たりを好むユリ
テッポウユリやスカシユリ、ヒメユリ、リーガルリリー、
アジアティック・ハイブリッド系や、ロンギフロラム・ハイブリッド系、
トランペット・ハイブリッド系は日当りを好みます。
◎明るい半日陰を好むユリ
ヤマユリやササユリ、カノコユリ、ヒメサユリや
オリエンタル・ハイブリッド系のユリは、明るい半日陰を好みます。
自分の栽培しているユリがどの系統か分からない場合は、
目安として、葉が細いユリは日当りを好み、
葉幅が広いユリは明るい半日陰を好む、
と覚えておくと良いでしょう。
*ただし、例外もあります。
これらの条件を満たしたら、以下のポイントを押さえて育てると、
丈夫な株になり、見事な花をつけてくれます。

カノコユリなどヤマユリ系は明るい半日陰を好みます
■ユリ 良い花を咲かせるには?
1.深植えにする
まず、植え付け方ですが、ユリの球根は必ず深植えにしましょう。
ユリには、球根の下から伸びる”下根”と呼ばれる太い根と、
球根から生えた地中の茎から出る”上根”と呼ばれる細い根の、
2種類の根があります。
下根は主に地上部を支える役割を、上根は水分や養分を
吸収する働きを担っています。
そのため、球根を浅く植え付けてしまうと、上根が十分に張ることができず、
養分が足りずに球根の肥大が妨げられ、翌年の芽が貧弱になってしまいます。

2.一定期間寒さにあてる
ところで、ユリの球根が発芽するには、一定時間寒さにあたる必要があります。
鉢植えの場合は室内で冬越しさせず、屋外においておきましょう。
3.日当たりと追肥
チューリップなどの球根は、その内部に花芽を持っていますが、
ほとんどのユリは球根内に花芽を持ちません。
春になり、芽が出て、10〜15cmの草丈の頃に花芽を形成します。
そのため、この時期の管理が、良い花を咲かせるために非常に重要になってきます。
この時期はよく日に当て、追肥も施してあげましょう。

テッポウユリは比較的育てやすくじょうぶです
4.花後の手入れ
無事に花が咲いても、そこで管理が終わりではありません。
花が終わったら、今度は球根が肥大する時期です。
そのため、花が終わっても茎葉は必要ですので、切り花などにする場合は、
上部1/3ほどを切り、茎葉を残してあげましょう。
花がらは、残しておくと種子が形成され、養分が分散してしまうので、
子房ごと手で折り取り、取り除きましょう。
鉢植えの場合は、鉢土温度にも気を使う必要があります。
鉢土温度が高くなりすぎると、根が傷んでしまいます。
そのため、ベランダなどで栽培している場合は、照り返しにより
鉢土の温度が上がりがちですので、棚などの上に置き、
できるだけ涼しくなるようにします。
◎二重鉢も効果的です
二周りほど大きめの鉢を準備し、鉢底に赤玉土を敷いてから
ユリの鉢を入れ、隙間にも赤玉土を詰めます。
さらに、鉢土の表面を腐葉土で厚く覆うと、高温のほか、
乾燥からも株を守ることができます。
■参考
・ユリ 育て方 12ヶ月
・カノコユリ(鹿の子百合)の育て方
・カサブランカ(ゆり、百合)の球根の植え方
・カサブランカの育て方
・鉄砲百合(てっぽうゆり・テッポウユリ)の育て方
・黒百合(クロユリ)の育て方、栽培方法
・スカシユリ アジアティックハイブリッドの育て方