バンカープランツとは、
害虫の天敵を集めるために育てる植物のことで、
おとり作物、天敵温存作物ともよばれています。

バンカープランツの語源には諸説ありますが、
下記の2つが有力です。

一つは、”銀行家”としての”バンカー”で、
天敵を”バンカー”プランツに預けておき、
必要な時にその効果を引き出す(=害虫を捕食してもらう)、
という意味です。

もう一つは、”バンカー”を”鉄筋コンクリートの簡易陣地”という意味で捉え、
畑の周囲に”バンカー”プランツを植えることにより、
害虫から守るという意味合いです。


■バンカープランツとコンパニオンプランツの違いは?

コンパニオンプランツとは、一緒に栽培すると、
お互いの生長に良い影響を与える植物の組み合わせのことをいいます。

コンパニオンプランツに期待される働きの中には、
病虫害を予防し農薬や化成肥料の使用を抑えることも含まれるので、
バンカープランツは、コンパニオンプランツの括りの中に、
含まれると考えてよいでしょう。


■バンカープランツの種類

現在、次のようなバンカープランツが知られています。


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カタバミ…ハダニの天敵を増やします


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キンレンカ…アブラムシ・ハダニ・スリプスの天敵を増やします


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シロツメクサ…ヨトウムシの天敵を増やします


ソルゴー…害虫全般の天敵であるクサカゲロウの住処になる
ニラ…アブラムシの天敵を増やします
長ネギ…アブラムシの天敵を増やします
ソラマメ…アブラムシの天敵を増やします
ヨモギ…アブラムシ・ハダニの天敵を増やします
クレムソンクローバー…スリップスの天敵を増やします
イヌガラシ…アブラムシの天敵を増やします
イヌホオズキ…アブラムシ・ハダニの天敵を増やします
エンバク…害虫全般の天敵であるクモやクサカゲロウの住処になります
カラスノエンドウ…アブラムシ・ハダニの天敵を増やします
キスゲ…カイガラムシの天敵を増やします
ギシギシ…テントウムシダマシの天敵を増やします


バンカープランツの中でも、
特定の野菜と相性の良いものがあります。

例えば、ナスと麦は、相性が良い作物同士です。
まず、麦にアブラムシが集まり、アブラムシを食べに
アブラムシの天敵であるナナホシテントウがあつまり、
麦のアブラムシを食べるついでにナスのアブラムシも食べてくれます。
麦につくアブラムシは、ナスにはつかないので、全く問題になりません。

また、ナスとソルゴーも相性が良いことで知られています。
ソルゴーとはコウリャンの一種で、ヒメハナカメムシや
クサカゲロウなどがソルゴーに集まってきます。

これらはナスの害虫であるキイロアザミウマやハダニ、
アブラムシなどを捕食してくれます。