
長野の4月のウメ
4月に入ると、遅咲きの品種もほぼ咲き終わる時期になります。
ここからは、次のシーズンに向けての管理に切り替わります。
剪定や芽かき、摘心など、株姿を整えるような作業が増えてきます。
気温が上がってくること、害虫だけでなく病気の可能性もでてくるので、
病害虫の防除も欠かせなくなります。
[ウメの育て方12ヶ月 4月]
■基本の栽培管理
・ウメの状態
花ウメの場合、遅咲き品種もほとんど咲き終わっている状態です。
葉芽が膨らんで、新しい枝が発生しているものもでてきます。
実ウメの場合は、花後に膨らんできた実が確認できるくらいになってきます。
中には受粉不良などで自然に実が落ちる、生理落果が始まります。
生理落果は、ウメ自身が不要であると感じた実を落とす現象です。
無理に落とす必要はありませんし、実が落ちたからといって、気に病むこともありません。
・水やり
地植えにしているウメは、あまり水やりをしなくても構いません。
雨が長い間降らず、土が乾燥しているようなら、与えるようにしましょう。
鉢植えにしているものは、土の表面が白っぽく乾いたら水を与えます。
4月にもなると、気温も上がってきますし、晴れている日の日中は、
意外と気温が高くなることがあります。
暖かい南風がよく吹いている日なども、乾燥しやすくなるので、
土の状態には注意しましょう。
この頃になると、あまり土が凍る心配もなくなるので、
鉢底から水が出てくるまで、たっぷりと水を与えるようにしましょう。
葉芽が伸びてきて葉が展開してくると、
水分の蒸散量が増えるため、土が乾きやすくなります。
表面が乾いていても少しなら大丈夫かなと、そのまま出かけてしまうと、
日中に気温が上がって乾燥が進み、水切れによって根や葉が痛むことがあります。
天気予報をよく見て、気温が上がりそうな日は、
やや乾いているものにも水やりを行っておきましょう。
・追肥
地植えにしている場合は、基本的に追肥は不要です。
実ウメの場合、実がたくさんなっているのであれば、
4月下旬に追肥を行う場合がありますが、絶対ではありません。
徒長枝の発生が多い株は、すでに株が充実しているので、
無理に追肥をする必要はありません。
過剰に肥料を与えると、徒長枝の発生が多くなりますし、二度伸びの原因にもなります。
実付きが多く、枝の伸びが悪い場合にのみ、追肥を行いましょう。
地植えにしている花ウメ、実ウメでも、幼木で株を大きくしたい場合は、追肥を行います。
頻度は月に1回〜2回です。
与える肥料の量は、育てている年数や樹冠直径によって異なります。
肥料を与える時は、与える範囲内にできるだけ均一になるようにまき、
10cmくらいの深さで中耕するのがお勧めです。
他の植物が植わっているなどで中耕できない場合は、
無理に中耕しなくても構いません。
鉢植えにしている株の場合は、4月中旬〜5月下旬の間に、
2回〜3回に分けて追肥を行います。
地植えと違い鉢植えの場合は、水を与えた時に水が鉢底から流れ出ることで、
肥料分も一緒に流れ出てしまいます。
その分、肥料の流亡が激しいので、追肥は必ず行うようにします。
肥料は置き肥にしますが、量は鉢のサイズなどで異なるので、
育てているウメに合わせた量を与えましょう。
前回の肥料がなくなってから、次の肥料を与えるようにすると、
肥料過多になる心配がなくなります。
・病害虫の予防
3月に引き続き、アブラムシ、ウメスカシクロハ、
コスカシバ、ウメケムシなどの害虫に注意します。
害虫本体を見つけたら、捕殺するようにし、被害が大きいようなら、
薬剤を使って防除します。
黒星病の発生が多い株は、薬剤による防除を行います。
12月に石灰硫黄合剤を散布していたとしても、4月中旬〜5月下旬の間に、
2回〜3回ほど薬剤を散布します。
薬剤は、キャプタン剤を600倍に希釈したものか、
ベンレート水和剤を2000倍に希釈したものがお勧めです。
■その他の作業
・芽かき
太い幹から直接出ている芽の中で、強い徒長枝になりそうなものは、
芽が小さいうちに芽かきをしておきます。
地植えにしている株の場合、毎年徒長枝がたくさん出るような樹勢の強い株であれば、
余分な体力を発散させるために、40cm〜50cmくらいまで伸ばす方法があります。
これくらいまで長く伸びると、樹勢の強い芽か弱い芽かが分かるようになるので、
強いものだけ切るようにします。
鉢植えにしている株は、太い幹から出てくる芽は、
必要な枝と感じる場合以外は、すべて芽かきをします。
他の枝から出てくる芽は、混み合っている部分のみを間引くように芽かきを行います。
◎捻枝
幼木を大きくしている途中の場合は、すべての芽をかくよりも、
芽を残して枝を伸ばし、株を大きくするようにします。
強い枝が出ている場合は、捻枝という作業を行うことで、
意図的に樹勢を弱めることができます。
文字通り、枝の付け根をひねるようにする作業で、
これを行うことで枝の樹勢が弱まり、花芽がつきやすくなります。
・摘心
必要と感じた芽であっても、あまりにも長く伸びると、株姿も乱れます。
だいたい15cm〜20cmほど伸びたら、摘心(芽摘み)を行い、
枝の生長を止めるようにします。
摘心した後も、また芽が伸びてくる二度伸びと呼ばれる状態になることがあります。
この場合は、芽が小さいうちにかきとるようにします。
何度も芽かきを繰り返すのが面倒な場合は、
8月〜9月に長く伸びた枝を剪定する方法もあります。
・剪定
花が終わった株で、まだ剪定が終わっていないものは、できるだけ早く剪定しておきます。
・実生苗の管理
肥料を与えて、生長を促すようにします。
新芽にはアブラムシがつきやすいので、防除が必要となります。
・接ぎ木の管理
高接ぎ以外の接ぎ方をしているものは、
穂木から発生する芽が4cm〜5cmほどになる頃、不要な芽を取り除いておきます。
台木から発生した芽は、小さいうちにすべて取り除くようにしましょう。
高接ぎしたものは、そのまま伸ばすようにします。
苗木に育てる場合は、芽が20cm〜30cmくらいまで伸びたら、
支柱を立てて枝を支えます。
・挿し木の管理
3月に挿し木をしたものは、日中の強い日差しが当たらないように注意し、
用土が乾燥しすぎないように管理します。
芽が出始めているものは、空気中の湿気が足りなくなると、
芽が枯れることがあるので注意します。
もし、まだ挿し木ができていない穂木が残っている場合は、
4月上旬までに挿し木を行っておきます。
■ウメの育て方 4月のポイント
1.温度が上昇してくるので、水切れに注意しましょう。
2.鉢植えは必ず追肥を行い、株を充実させます。
3.新芽の中で不要な芽は、必ず芽かきをして取り除いておきます。