ウメを育てていると、花ウメ・実ウメに限らず、
年間を通して色々な害虫が発生します
害虫によっては、大木に育ったウメの木であっても弱らせることがあります。
ウメの花付きや樹勢が悪くなるばかりか、病気にかかりやすくなって、
最悪の場合は枯れてしまうこともあります。
ウメを害虫から守り、長く楽しめるようにしましょう。
[ウメの害虫|種類と対策]
■アブラムシ
発生する時期は4月〜5月です。
5月中旬頃には、ほとんどのアブラムシがつかなくなります。
アブラムシにも種類があり、その中でもウメクビレアブラムシ、
モモアカアブラムシなどには注意が必要です。
これらのアブラムシが発生すると、葉が巻いたようになる症状が出ます。
4月下旬以降にオカボノアカアブラムシなどが大量発生すると、
樹勢が急激に弱くなり、葉や実にすすがついたようになります。
・対策
4月上旬頃に、マラソンやスミチオンの1000倍液を散布すると効果的です。
また、4月下旬以降に発生した場合、
実ウメの場合は収穫時期が血界ため、持続性の高い薬剤を使えません。
効果の短い薬剤を使うようにしましょう。
花ウメの場合は、効果の長短は気にしなくても大丈夫です。
■ダニ
6月頃に発生することがあります。
特に鉢植えにしている株で被害が出ることが多いため、注意しておきます。
・対策
ダニ類は水を嫌うため、水を与える時などに、葉の裏にも水をかけてあげると、予防になります。
■カイガラムシ
5月、7月、11月に発生が多くなります。
カイガラムシの中でも、ウメシロカイガラムシとタマカタカイガラムシには要注意です。
ウメシロカイガラムシは白い色で、タマカタカイガラムシは茶色い色をしています。
どちらも木の表面にくっついて汁を吸うのですが、量が増えると株が弱ります。
・対策
数が少ないようであれば、使い古した歯ブラシなどを使って、
こそげ落とすことで退治できます。
12月に石灰硫黄合剤を散布することで、ある程度の防除ができます。
ただ、その後も被害が多いようであれば、
実の収穫が終わった後、幼虫の発生時期である、
7月中旬〜9月中旬にかけて、1回〜2回マラソン乳剤を散布します。
6月下旬に、アプロード水和剤の1000倍液を散布するのもいいでしょう。
11月頃に多く発生した場合は、11月中旬にマシン油乳剤を散布しておきます。
この時、発生の多い枝にだけ薬剤を散布するのがポイントです。
■コスカシバ
幼虫が発生するのは、おもに3月〜10月です。
春になると、樹皮の内側で越冬していた幼虫が動き始めます。
樹皮の下の組織を食害するため、多発すると株が弱る可能性があります。
樹皮の割れ目などに、茶色い小さな糞が付着していたり、
茶色い樹液が出ている場所に幼虫が潜んでいます。
・対策
糞を見つけたら、樹皮を少しめくって幼虫を捕殺したり、
樹皮の上から木槌などで軽くたたいて圧死させておきます。
休眠期の間に、ガットキラー乳剤を散布しておきましょう。
■ウメスカシクロバ
幼虫が葉を食害する害虫で、3月〜7月に発生します。
葉芽が膨らみ始める頃から、少しずつ食害するため、
発生が多くなるといつまでたっても葉が出てこない状態となります。
幼虫は体長20mmほどの茶色い毛虫です。
体は小さいですが、毛には毒針があり、触れると危険です。
葉を食べて活動するのはおもに夜になるため、
あまり昼間に見つけることはありません。
・対策
食害されたのをみつけた時に、本体を探して捕殺できれば良いのですが、
夜間に活動するため難しいことが多いようです。
スミチオンやディプテレックスなどを散布すると効果があります。
■ウメケムシ
オビカレハという蛾の幼虫で、4月〜5月に発生します。
まだ小さいうちは、天幕状の巣を作り、そこに集団で生活をしています。
巣から集団で、葉・新芽・花芽などを食害するため、
放っておくと丸坊主になってしまうことも少なくありません。
幼虫が大きくなってくると、集団での生活をやめ、
昼間は樹皮の割れ目などに潜み、夜に食害を始めます。
・対策
年に1回春に発生し、その後は夏も冬も卵の状態で過ごします。
そのため冬に落葉した時、枝に産み付けられている、
卵を捕殺するのが最も確実な防除方法です。
孵化した後は、集団で生活をしているうちに、巣ごと取り除いて捕殺します。
防除のために、ディプテレックス乳剤を散布すると効果的です。
■ナシヒメシンクイ
シンクイムシの一種で、5月〜6月に発生します。
新梢の先から入り込み、内部を食害して生長点をつぶしてしまいます。
そのため、苗木やまだ若い木で発生した場合は、深刻になることもありますが、
成木であればさほど気にすることはありません。
ただし、近くでモモやリンゴ、ナシなどを育てている場合は、
それらも食害される可能性があるため注意します。
・対策
幼虫が入り込んで食害された枝は、先端から枯れこんで途中で折れ曲がります。
その部分にはすでにいない場合もありますが、
こまめにチェックして、該当する枝があれば切って取り除いておきます。
■ハマキムシ
発生は6月頃です。
幼虫が葉をつづり合わせるため、
葉が巻いたような状態になることから、こう呼ばれています。
つづり合わされた葉を開くと、中に幼虫がいます。
・対策
数が少ないようであれば、幼虫が中にいるであろう、
つづり合わされた葉を摘んで処分します。
あるいは、発生初期にスミチオンの1000倍液を散布すると効果があります。
ただし、実ウメの場合、収穫前に薬剤を散布する時は、
効果が短い薬剤を散布するようにします。
■コウモリガ
6月頃に幼虫が発生します。
幹の中に幼虫が入り込んで食害するため、弱い幼木が被害に合うと、
そのまま枯れてしまうことがあります。
・対策
株元の雑草などをこまめに取り除き、風通しをよくしておきます。
被害が多いところでは、5月下旬〜6月下旬にかけて、こまめにチェックします。
幹に糞を見つけたら、近くにいるはずなのですぐに捕殺しておきます。
イラガの繭
アオイラガ
■イラガ
6月頃に発生が多くなります。
イラガの幼虫が、葉を食害します。
幼虫は黄緑色をした毛虫ですが、ツノのようなものがあり、特徴的な姿です。
ただし、毛には毒があるため、素手で触るのは厳禁です。
・対策
数が少ないようであれば、見つけ次第捕殺します。
この時、素手では絶対に触らないようにします。
割り箸などを使って駆除しましょう。
発生数が多い場合は、スミチオンなどの薬剤を散布して防除します。
ウメエダシャクトリ
■シャクトリムシ
8月頃に発生します。
おもに幼虫が葉を食害します。
・対策
一度の多くは発生しません。
本体を見つけたら、その場で捕殺するようにしておけば、
大きな被害が出ることはほとんどありません。
■モンクロシャチホコガ
発生時期は8月〜9月ですが、9月下旬が一番発生が多くなります。
肌が茶色をした毛虫で、小さなうちは葉の裏などに密集しています。
一度に発生する幼虫の数が多いので、
うっかりしていると葉がほとんど食べられてしまうこともあります。
・対策
発生時期には、よく葉の裏をチェックするようにします。
小さいうちは、葉の裏などに集まっているので、その葉を摘んで処分しておきます。
■参考
・梅の木の育て方
・しだれ梅の育て方と剪定
・ウメ 咲かない理由は?
・ウメの木 実がなるまで
・ウメの木 実がならない理由は?
・ウメの木の消毒は?
・ウメ 挿し木の方法
・ウメの木の手入れ
・ウメの育て方 1月
・ウメの育て方 2月
・ウメの育て方 3月
・ウメの人工授粉
・ウメ 盆栽の育て方
・ウメ 苗木購入のコツ
・ウメ 種からの育て方
・ウメの肥料
・ウメ 鉢植えの育て方
・ウメの病気|症状と対策