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ウメは自分の花粉で受粉しても結実しにくい性質があり、
実ウメを育てる場合、開花時期の近い相性の良い品種を一緒に育てる必要があります


開花時期は早いウメで1月頃から咲き始めますし、花期の遅いウメでも3月頃です。
1月〜3月というと、本来受粉の手助けをしてくれるはずの虫も、
まだ活動を始めていないことが多いものです。

そのため、ウメを多く結実させたいのであれば、人工受粉をするのがお勧めです。
人工受粉をするためには準備が必要ですが、
それほど難しい作業ではありませんので、ぜひチャレンジしてみてください。


[ウメの人工授粉]


■人工受粉のタイミング

受粉させる花(結実させる側)が、二分咲き〜3分咲きになったら、人工受粉を行います。
受粉させる花が満開になるまでに、数回人工受粉をすると、受粉率が上がります。

人工受粉の作業を行う時は、できるだけ暖かい晴れた日の午前中を狙うようにします。

受粉させる花は、雌しべが長く伸び、太くしっかりとしていて、
子房の膨らみが大きいものが良いです。

枝は短いものの方が、良い花がついていることが多いため、
20cmくらいまでの長さの枝についている花を中心に受粉を行うと効果的です。

花の中には、雌しべがなかったり、細かったりするものがあります。
そういった花は、不完全花といい、花粉をつけても結実しなかったり、
しても小さいうちに落ちてしまうことが多いです。

花を摘んで直接受粉させたりするような、
個別の受粉を行う場合は、より良い状態の花を選ぶようにします。

羽根ボウキなど、大きなものを使って人工受粉をする場合は、
特別気にする必要はありません。


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人工授粉の基本−花で受粉


■人工受粉の方法

・花で受粉
結実する側ではなく、花粉を目的とした側のウメの花を摘み、
それを使って受粉する方法です。

花粉のある側の花の花粉(雄しべ)を、結実させる側の花の雌しべに、
軽くぽんぽんと当てるようにして受粉させます。

この方法はとても簡単で、特別な道具も必要としませんので、
気軽にできるメリットがあります。

ただし、高い位置にある花への受粉が難しいことと、
花粉が落ちやすいという難点があります。


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耳かきが活躍します


・綿毛を使って
耳かきの頭についている綿毛に花粉をつけ、結実させる花に受粉する方法です。
花粉が綿毛に入り込むため、花粉が無駄になりにくいです。

花粉が無駄になりにくいため、1つの花からとった花粉で、
約50個の花に受粉作業を行うことができます。

2本育てているウメが、どちらも実ウメで花粉がたっぷり出るタイプであれば、
50個ずつ交互に受粉することで、両方に受粉させることも可能になります。
耳かきの綿毛以外にも、筆などでも人工受粉をさせることができます。


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羽根ボウキは、高く広い場所で使えます


・羽根ボウキを使って
耳かきを使う場合は、高い場所への受粉が難しいですが、
羽根ボウキを長い棒や支柱にくくりつけて受粉させる方法もあります。

1つ1つの花に受粉せず、いくつかをまとめて受粉させるため、
大雑把な方法ですが、自然受粉よりは効果が期待できます。

この場合は、あらかじめ花粉を採取し、ビニール袋などに花粉を入れておきます。
そのビニール袋に羽根ボウキを入れて花粉をつけ、
高い場所への人工受粉を行うようにすると、花粉が落ちにくくなります。


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白い花の花粉が質が良いです


■花粉の採取

花の時期がどうしてもずれてしまう場合などは、
あらかじめ花粉を採取しておくと、後から咲いた花に受粉できます。

ただし、花粉用の木の方が必ず早く咲くように、品種選びには気を付けます。
結実させる方の木が早く咲いても、花粉が間に合わないのでは意味がありません。

1.花粉の多い品種の花を、咲いてすぐか、
1日〜2日くらいで咲きそうな大きく膨らんだ蕾を摘み取る。

2.2mm目のふるいやザルの中に摘んだ花と蕾を入れ、
軽くこすりつけると、葯(やく)のみが落ちる。

3.浅い箱の中に紙を敷き、
その上に採取した葯をできるだけ重ならないように広げる。

4.15度〜20度くらいの場所に半日〜1日置いておく。

5.葯が開いて花粉が出たら、紙に包んで、茶筒などに乾燥材と一緒に入れる。

6.5度以下になる冷蔵庫に入れておけば、1ヶ月ほどもちます。

・葯(やく)とは、雄しべの先端についている袋状の器官で、中に花粉が詰まっています。
開花直後や直前は、この葯がまだ十分に開いていないため、
採取した後に室温に置いて葯を開いて花粉を出す必要があります。

ウメの花の受粉能力があるのは、開花から4日〜8日の間だけです。
気温の低い時期に開花したものほど長持ちしますが、
新鮮な花粉を保存しておくため、花は早めに摘み取り、花粉を採取しましょう。

・同じウメでも、赤ウメと白ウメとでは、花粉の質が違う場合があります。
赤ウメよりも白ウメの方が、花粉の質が良い場合が多いため、
できるだけ白ウメから花粉を採取しましょう。

・保存する時は、5度以下を保てるのであれば、冷蔵庫でなくても構いません。
できるのであれば、冷凍庫に保存しておく方がおすすめです。

■参考
・梅の木の育て方
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